人間やめますか?幻覚剤

LSD
1943年 スイスの製薬会社サンドス社のアルバート・ホフマン博士は 麦角菌のアルカロイドの研究中 この合成物質を誤って飲んでしまった。ホフマンは、強い酒をあおったような気分と軽い全身の痺れ感に襲われ傍らのソファーに身を横たえる。すると目の前で色彩の乱舞が起こりはじめたのである。これが麦角菌からLSDが生まれた瞬間であった。LSDの初期症状は 軽い痺れ、発熱 嘔吐、頭痛から始まり脈絡のない思考と自己のコントロールが出来なくなる。精神の錯乱は勿論の事 肉体のコントロールも利かなくなり自分の意思で手指を動かす事すら困難になってゆくが 時折神経に作用する信号によって筋肉の痙攣が見られる。持続力は長く約3時間程で 幻聴や幻覚が感じられる。精神錯乱で拍車がかかった幻覚は患者をパニックに落としいれる。LSD体験者の多くは 壁に得体の知れない絵柄が映し出されたり物が歪んで見え多弁になるといわれている。1950年この性質「多弁性」に注目したアメリカCIAは 自白剤の実験用に直ちにサンドス社に大量のLSDを発注した。しかし錯乱状態で衝動的に口にする被験者の言葉は意味を成さず断念する事となった。


・コカの葉
コカは標高の高いアンデス山脈で栽培されアンデスインディオたちは高山病における嘔吐 頭痛 脱力感をコカの葉で抑制していた。毎日使用することで習慣性の恐れはあるものの害はほとんどないとされていた。コカは 葉だけ噛んでも効果は見られず石灰と一緒に口に入れるが歯科での麻酔薬のように口中が痺れる特徴がある。1860年 フランスでコカ・エキスの入ったワインが製造された。このワインは、パリの文化人を瞬く間に夢中にさせた。宇宙戦争のH・G ウェルズ、 発明家 エジソン海底二万マイルジュール・ヴェルヌは、このワインを好んで飲んだ面々である。その後アメリカ ジョージア州の薬剤師がコカの入った嗜好飲料を作り出すが現在では コカの有効成分を除去されたものが市場に出ている。コカノキの葉をある溶液に浸けてコカをペースト状にし その後塩酸で処理されたものがコカインである。コカインは麻酔薬 或いは 痛みの緩和に使用するモルヒネの効果を強化するといわれていたが最近では 疑問視されているようだ。コカインを吸入すると日常的な疲れ倦怠感が消され向精神薬の役目がある。この多幸感により活動的になるがその効果が持続せず更に求めることで依存性が恐れられている。


・アヘン

紀元前から 麻酔薬として使用されてきたアヘンは、メソポタミアの平原のケシを原産とする。ケシの実から採れる白い液体は 欲望のスイッチをオフにするだけでなく不安感も消し去る。欲望も不安感もなくした人間にとって「不幸」と云う感情は 拭い去られるのである。しかしアヘンには労働意欲の低下 協調性に欠ける言動から国家の破綻が予想され18世紀喫煙禁止に至った。ディ・クインシー(1822年)の「阿片常用者の告白」は 自叙伝である。8年もの長期にわたり常用期間を経て死の恐怖に襲われるようになり想像を絶する苦難の末 アヘンを断ち切ってゆく。


・ヘロイン
ヘロインは 人間を堕落させる悪魔の薬、副作用として便秘、排尿の困難、男性の場合は不能になる。依存および禁断症状は、筋肉の痙攣酷い嘔吐感、悪寒と手の震え
胃痛 各所の激痛 禁断症状は 傍から見ても一目でわかるので社会的生活をつづけることができなくなる実に不幸をもたらす毒薬である。


大麻
大麻が精神に及ぼす影響は アルコールとさして変わりはない。また精神的な依存性は タバコより少ないといわれているが 実のところ大麻はタール含有が相当量あり大麻に使用されるパイプは、使い捨てられるほどヤニがこびりつく。このヤニを落とすには 自転車のブレーキクリーナーを用いるほど頑固な汚れで このヤニが気管や肺に付着することは免れない。