Hexagram(六芒星)

mminazuki2006-05-04

2つの三角形が組み合わさりできるこの周知の図形は、ダビデまたは、ソロモンの時代からユダヤ教の表象であったと考えられ 『六芒星形』をマーゲン・ダビデダビデの星 或いは、ソロモンの封印と呼ばれている。


しかし実のところ この図形は、ダビデ、ソロモン共に関係がなく ユダヤの文献で この図形にかんする言及が見られるのは 12世紀になってからである。しかも 仔の図形が、ユダヤのエンブレムに採用されたのは17世紀になってからの事であった。


六芒星の真の歴史は、ヒンドゥー教のタントラに発しており 男女両性の結合を表していた。すなわち頂点が下に向かう下向きの▽原初における女性のイメージ(ヨーニ・ヤントラ)で宇宙の生成に先立つ存在だった。やがて無限の時間が経過するうちに 女神は自の三角形のなかに「生命の火種」を宿し、そして産み落とされ成長し男性になった。 男性は、頂点が上にくる上向きの三角形であらわされ この男性は、自分の母と結合し原初の両性具者となった。この結合の印が 六芒星で「大いなるヤントラ」と呼ばれていた。


大いなるヤントラ(六芒星)を擬人化したのがビンドゥ・マティ(母)で彼女は、神話の中で聖娼と言われた。彼女の所有する魔力は、嵐を起こし 川の流れを沈めた。後に彼女の起こした奇跡が エジプト神話に登場する賢人や後世のモーセによって模倣される事になる。


このような性的意味を持つ六芒星のタントラのイメージから 中世のカバラに繋がるユダヤ人の性崇拝体系や「契約の箱」の中に、十戒の二枚の石版と一緒に二人の男女が六芒星の形で睦まじく抱擁している絵が納められているらしいとの ラビたちの伝承まで生まれた。


カバラは 十字軍によって東方の女神崇拝が知られるようになってから ムーア人占領下のスペインで ユダヤ人が発展させたものだった。カバラの信者たちは、タントラのヨーガ行者と同様 男神とシェキーナー(女性とみなされたエネルギー)との結合を六芒星で表した。シェキーナーは、シャクティ・カーリーのユダヤ版であり シャクティが ヒンドゥー教の神にとって絶対必要な霊魂であるのと同じように シェキナーは カバラの神にとって欠かす事の出来ない霊魂であったのだった。


聖婚を信奉している宗教の例にもれず ユダヤ教カバラも 「人間の夫婦は 地上にあって男神 女神を体現している存在であり 人間の性的結合は 超自然的領域における男神・女神の性的結合を促進すると考えられた。従って性交を男神とその妻 或いは 女神とその夫に奉仕する神聖な行為とみなされた。


カバラの経典「ゾーハル」では、シェキーナーは、トーラー(律法)と同一視されたが これは ちょうどその昔グノーシス派の女神が 処女相マート(律法) 或いは、真理とト同一視されたものと同じだった。神秘の知恵を獲得したいと熱望する男性は 「トーラーの花婿」になる必要があった。なぜなら トーラーは乙女の姿で顕現していたからであり しかも この乙女は、当時の吟唱詩人たちが 東方の女神崇拝に啓発され書いた恋愛物語の中の あの秘儀を授けてくれる最愛の貴婦人に似ていたのだった。


『それは、トーラーが宮殿の中の容易に人を近づけぬ一室に身を隠している一人の美しい高貴な乙女に似ているからである・・・その乙女は 一目につかぬ自室の扉を ほんの少し開いて 僅か一瞬の間だけ愛人に その顔を見せるが また直ぐに隠れてしまう。 彼だけがその顔に目をとめるが するともう ほかの事は何も考えられなくなり 全身全霊をあげて 彼女にひきつけられる。彼が彼女に近づくと 彼女は彼の理解力に合わせて語りだし やがて 極めて徐々にではあるが、彼にも秘儀がわかり始める。』


このように六芒星は 賢者とシェキーナー・トーラーとの完全な結合を表していた。また六芒星形は 魔力を持った「ソロモンの封印」と呼ばれ ソロモンと関連づけされてはいるが この見方は、聖書の「雅歌」のあの官能的な恋愛詩が暗示しているように ソロモンが秘儀を伝授されたのは 聖婚のお蔭であるとする古代の通念から生まれたものと思われる。

ソロモンの歌


どうかあの方が、その口のくちづけをもって
わたしにくちづけしてくださるように



1:6 どうぞ、そんなに見ないでください
日焼けして黒くなったわたしを。兄弟たちに叱られて
ぶどう畑の見張りをさせられたのです。自分のぶどう畑は見張りもできないで。


2:2 おとめたちの中にいるわたしの恋人は
茨の中に咲きいでたゆりの花。


2:3 若者たちの中にいるわたしの恋しい人は森の中に立つりんごの木。
わたしはその木陰を慕って座り甘い実を口にふくみました。
2:4 その人はわたしを宴の家に伴いわたしの上に愛の旗を掲げてくれました。


恋人よ、美しいひとよ さあ、立って出ておいで。

2:11 ごらん、冬は去り、雨の季節は終った。
2:12 花は地に咲きいで、小鳥の歌うときが来た。
この里にも山鳩の声が聞こえる。
2:13 いちじくの実は熟し、ぶどうの花は香る。

恋人よ、美しいひとよ,さあ、立って出ておいで。


3:1 夜ごと、ふしどに恋い慕う人を求めても
求めても、見つかりません。
3:2 起き出して町をめぐり 通りや広場をめぐって 恋い慕う人を求めよう。

求めても、あの人は見つかりません。
3:3 わたしが町をめぐる夜警に見つかりました。
「わたしの恋い慕う人を見かけましたか。」

3:4 彼らに別れるとすぐに恋い慕う人が見つかりました。
つかまえました、もう離しません。
母の家に わたしを産んだ母の部屋にお連れします。


4:1 恋人よ、あなたは美しい。
あなたは美しく、その目は鳩のようベールの奥にひそんでいる。
髪はギレアドの山を駆け下る山羊の群れ。

4:2 歯は雌羊の群れ。
毛を刈られ洗い場から上って来る雌羊の群れ。
対になってそろい、連れあいを失ったものはない。

4:3 唇は紅の糸。言葉がこぼれるときにはとりわけ愛らしい。
ベールの陰のこめかみはざくろの花。

4:4 首はみごとに積み上げられたダビデの塔。
千の盾、勇士の小盾が掛けられている。

4:5 乳房は二匹の小鹿。
ゆりに囲まれ草をはむ双子のかもしか。

4:6 夕べの風が騒ぎ、影が闇にまぎれる前に
ミルラの山に登ろう、乳香の丘にわたしは登ろう。

4:7 恋人よ、あなたはなにもかも美しく傷はひとつもない。


4:12 わたしの妹、花嫁は、閉ざされた園。
閉ざされた園、封じられた泉。

4:13 ほとりには、みごとな実を結ぶざくろの森
ナルドやコフェルの花房
4:14 ナルドやサフラン、菖蒲やシナモン 乳香の木 
ミルラやアロエ さまざまな、すばらしい香り草。

4:15 園の泉は命の水を汲むところ
レバノンの山から流れて来る水を。


7:2 気高いおとめよ
サンダルをはいたあなたの足は美しい。
ふっくらとしたももは たくみの手に磨かれた彫り物。

7:3 秘められたところは丸い杯 かぐわしい酒に満ちている。
腹はゆりに囲まれた小麦の山。
7:4 乳房は二匹の子鹿、双子のかもしか。

7:5 首は象牙の塔。
目はバト・ラビムの門の傍らにあるヘシュボンの二つの池。
鼻はレバノンの塔、ダマスコを見はるかす。

7:6 高く起こした頭はカルメルの山。
長い紫の髪、王はその房のとりこになった。

7:7 喜びに満ちた愛よ
あなたはなんと美しく楽しいおとめか。
7:8 あなたの立ち姿はなつめやし、乳房はその実の房。
7:9 なつめやしの木に登り甘い実の房をつかんでみたい。

わたしの願いは
ぶどうの房のようなあなたの乳房
りんごの香りのようなあなたの息
7:10 うまいぶどう酒のようなあなたの口。


4:16 北風よ、目覚めよ。
南風よ、吹け。

わたしの園を吹き抜けて
香りを振りまいておくれ。

恋しい人がこの園をわがものとして
このみごとな実を食べてくださるように。


5:10 わたしの恋しい人は 赤銅色に輝き、ひときわ目立つ。
頭は金、純金で 髪はふさふさと、烏の羽のように黒い。

5:12 目は水のほとりの鳩 乳で身を洗い、形よく座っている。
5:13 頬は香り草の花床、かぐわしく茂っている。
唇はゆりの花、ミルラのしずくを滴らせる。

5:14 手はタルシシュの珠玉をはめた金の円筒
胸はサファイアをちりばめた象牙の板
5:15 脚は純金の台に据えられた大理石の柱。

姿はレバノンの山、レバノン杉のような若者。
5:16 その口は甘美、なにもかもわたしを魅惑する。

エルサレムの乙女たちよ,これがわたしの恋する人、
これがわたしの慕う人。


7:11 わたしは恋しい人のもの
あの人はわたしを求めている。

7:12 恋しい人よ、来てください。
野に出ましょう
コフェルの花房のもとで夜を過ごしましょう。

7:13 朝になったらぶどう畑に急ぎ
見ましょう、ぶどうの花は咲いたか、花盛りか
ざくろのつぼみも開いたか。

それから、あなたにわたしの愛をささげます。
8:6 わたしを刻みつけてください
あなたの心に、印章として あなたの腕に、印章として。


愛は死のように強く
熱情は陰府のように酷い。

火花を散らして燃える炎。
8:7 大水も愛を消すことはできない
洪水もそれを押し流すことはできない。

愛を支配しようと財宝などを差し出す人があれば
その人は必ずさげすまれる。



8:11 ソロモンはぶどう畑を バアル・ハモンに持っていて
ぶどうの世話を番人たちに任せました。
番人たちはそれぞれの ぶどうに代えて銀一千を納めます。

8:12 「これがわたしのぶどう畑、ソロモン様。
銀一千はあなたの取り分。銀二百は世話をした番人へ。」