ギルガメシュ

mminazuki2006-03-19

嫉妬深い神が、絶対に渡すまいとする不死を求めて失敗した人間を語っている。シュメール・バビロニア叙事詩に登場する英雄、紀元前7世紀 ニネベ、アッシュルバニパルの書庫から出たものである。しかし其れを上回る古い断片が、紀元前2000年頃の遥か昔のバビロニアでの話を伝えている。


ギルガメシュは、死を恐れ 人間の中で唯一ひとり不死を得た洪水神話の主人公、ユタ・ナピテシュティム(旧約聖書のノア)から 不死に関する秘密を教えてもらおうと この人を探す旅にでる。多くの冒険を経てギルガメシュは、其の家父長を探し出した。家父長は、永遠の命の「薔薇」を見せてくれ、ギルガメシュは、家父長から、薔薇の木をもらった。その旅の途中のこと、彼が、湧き出す泉に身を浸していると(入浴) その隙に蛇が現れ「薔薇の木」を盗んでいってしまった。こうして蛇は、不死を得、死の国へ旅をしなくても 皮を脱ぎ定期的に生まれ変わる力を持つようになった。


打ちひしがれたギルガメシュは、その後 宿屋の女主人に変装した女神*1に出会った。ギルガメシュは、女神に不死の探求を止めるよう忠告され 真実を教わる。残酷な神々たちが人間はすべて死ぬものと決めていたという真実である。そして女神は こう付け加えた。「家に帰り 出来るうちに人生の良いところを楽しむように過ごしなさい。入浴し着飾り食べ飲んで 子供と遊び妻と愛し合い「毎日を祭り」のように過ごす事です。


シドゥリ「刹那主義」の哲学は『伝道の書』*29章に写されている。そこには、「神の言葉」であらゆる報い 或いはあらゆる罰をもたらす「来世」が否定され ユダヤキリスト教の神が正義を行う事がない極めて異教的一節が、見られる。

*1:女神=彼女は、シドゥリ・サビトゥ、神々の酒の酌をする女神で 後にスーフィー教徒の哲学者は、女神サキとして彼らの宗教に取り入れている。サキは、「暴かれた真実」と言う名の杯を神々に振舞う。

*2:伝道の書=、聖書中、他のいかなる書とも趣を異する。主への親しい呼び掛け 祈りもなく、天の啓示を告げることもない。罪との深刻な葛藤も直接本文からはうかがえず、展開されている思索が神について語るよりも人生の無常を嘆くことに重点がおかれている。