聖書 洪水 Flood

mminazuki2006-02-26

聖書に登場する大洪水の話は、更に古い時代 世界全体に知れ渡っていた。シュメールのジーウースードラによって「方舟」は、作られている。アカデにおいては、洪水の英雄の名は、アストラ・ハーシスであり バビロニアでは、ユタ・ナピシュティムと言い この神話の中では、この男が人間でたった一人不死を与えられた。ギリシアでは、デウカリオンという名で登場し 水が引いたのち妻ピュアの助けと水の太女神テミスの忠告を受け 再び地上の人口を増やしたとされている。アメリカでは、ジシュトロスといったが これはシュメールのジーウースードラの転訛したもので 彼の方舟は アララット山に乗り上げた。


カルディア人に伝わる最初の説明によると洪水神話の主人公は 神にこう云われ 更に詳細な技術的指導を受けた。ノアの方舟は、このように昔の壮大な話と較べると規模は ずっと小さかったようだ。


「舟を作って仕上げろ」
「私は 洪水によって物質と生命を滅ぼす」
「命あるもの 全てを持ち舟にのれ」
「方舟の長さは600*1幅60キュービットにつくり3600の三倍のアスファルト(瀝青)を塗り内側にも同量を塗れ。」


1972年 ジョージ・スミスがアッシュル・バニパル アッシリアの王*2 の書庫にあった「創造の十二書」を訳していた時、洪水神話の古いものを発見した。宗教的権威者が隠匿しようとした詳細な部分は、洪水を起こした神が太母に逆らった点であった。太母は、洪水によって地上の子供たちが溺死するのを望まなかった。母イシュタルは、神は、無謀にも洪水と嵐を起こし私の大切な民を破滅させたと逆らった神を厳しく罰し「大稲妻」をもって神を呪った。女神は天に魔法の虹をかけ 神が地上の祭壇に近づくのを遮ったという。

旧約聖書の記者は、古代洪水神話のほかに詳しく書かれた部分も写したが、怒った母親に食事抜きで床に追いやられる悪戯な子供のように 神がバビロンの売春婦(太母)に罰せられるのを認められなかったのだ。 このように旧約聖書の記者たちは、母イシュタルの虹という障害物を 神自ら天に立てた「契約の印」に変えてしまったといわれている。(創世記9:13)


チグリス・ユーフラテスの流域は、破壊的洪水の影響下にあった。その中の一つに地質学者が注目しているテラ島(現サントリー島)の噴火は、クレタ文明を破壊しているが、レナード・ウィリー卿が ウルの遺跡を発掘したて居た時 8フィートの厚さに及ぶ人工物の発見されない粘土層を洪水の跡と断定した。このような洪水が インド・ヨーロッパ人の信じる水による混乱と同一視されてたのかもしれない。


周期の終わりに世界を呑み込むような氾濫が起き 実体のない太母の子宮の中で 新世界が再生する。方舟は、一つの宇宙が破滅を向かえ 新しい宇宙が誕生するまでの混沌の期間を通り抜ける生命の種を表していた。


また グノーシス派では、洪水を起こす神を邪悪な、人間を破滅に追いやるものと述べ 更に古い見方では、人々がエホヴァだけを崇めるのを拒んだので 嫉妬した神は、洪水を起こさせたとの記述も存在する。幸運にも反対した女神が、ノアとのノアの家族を助けた。ノアたちは、女神の発した少量の光で(お告げ)で方舟に救われ そこから人類が世界中に満ちたといったグノーシスの派の解釈の根源は、バビロニア古代ギリシアの両方にありギリシア人によると 原初の海 母テミスが、デウカリオンと妻に「彼らの骨と大地の骨」つまり石から人間を作る方法についてオカルトの知識(光)を与えた事にある。

*1:キュービットキュービット=ラテン語のcubitumは、「肘」をあらわす。大人の中指から肘までの長さを1キュービットとする

*2:アッシリアの王 紀元前6世紀頃 軍指導者・政治家・ニネベで楔形文字を収集した、19世紀考古学上再発見