聖書 バベルの塔

mminazuki2006-02-25

バベルBa-Bel(神の門)とは、バビロニアの天界に至る山 つまりジグラット(聖塔、周囲に階段のあるピラミッド型の寺院)であった。神が空から至聖に降り立った場所でもある。至聖とは、神が、大地母神と交合するとき その生殖器をが置かれる場所である。


聖書でバベルの塔に触れている箇所をみると「三角形の肥沃な平野に入ってきた遊牧民の態度がわかる。彼らは、バビロニアの都市に聳え立つ塔を驚きと恐れの目で見たが 其の都市の大勢の人々が古代の近東地方の様々な言葉を話すのを知って 軽蔑した。」遊牧民の耳には、多種多様な言葉が、俗悪な無駄話(babble)に聞こえたのっであった。


バビロニアの有名な「つり庭」(空中庭園)は、そのジグラットの階段のうち 7つの階段をしめヒンドゥー教の神々の楽園に似せた楽園になっていた。「世界を7つに区分し それぞれに7つの都市と7つの神の宮居が建てられ 緑の森とせせらぎに囲まれ 7つの円を成し 下から上へと順に重なっていった。ネブカドネザルが復元したジグラットは、世界を7つの中心円形に区分した神殿であった。このため古代の人々は、広く一般に 7つの天界が7つの天球層に相応して存在するものだと信じていた。
キリスト教イスラム教も こうした宇宙観をとった。コーランには、アラーの神が、7つの天界と7つの地下界(地獄)を創った。との記述がある。


ジグラットが棄てられ廃墟と化し その煉瓦が崩れ落ちているのを観た後代の遊牧民たちは 神が昔の人々のおごりに怒りを発せられ その天界を望む建物を破壊したのだと思った。バベル神話は、インド・メキシコを含めて 世界のいたるところで見られる。 ギリシアでは、山々を積み重ね天界に至ろうとした巨人たちの神話がある。ヒンドゥー教では、それは塔でなく大きな木で 天界に達し そのためブラフマーの怒りに触れて 枝を切り落とされてしまった。斬りおとされた枝は それぞれの木になり 人類は、その木から 別々の言葉をもらった。


*1ベロッソスは、バビロニアの天界にいたる山は風によって破壊され 其の風に乗って 様々な言葉が人々の間に散ったと言った。このベロッソスの言葉の前半部は、理に適うものであった。土煉瓦の建築物が壊れる主なる原因は、乾燥で風に浸食される事であっったからだ。ベロッソスの話は、数世紀後 巨人たちが建てた聖なる山についてのアルメニア神話に現れた。「その山は風に吹かれて崩れ落ち同時に無数の言葉が人間の間に飛び散っていった」


同様な話が西半球にも見られる。チョクトーインディアンの神話では、彼らの祖先が石を積み上げて天界に達する山を作ったが風に吹かれその山は崩れ 其の時から人々は、それぞれが違う言葉で話すようになったとの話が残っている。また中央アメリカでは チョルラに天界に達するピラミッドがゼルファーの指導のもとに 巨人たちの手によって造られたが 其れを見て怒った神々たちが電光を放ち 崩壊させ そして 互いに理解できない様々な言葉を地上に送ったとの神話も杖得られている。



神話・伝承事典―失われた女神たちの復権

*1:ベロッソス=カルディア人で ベル・マルドゥックの聖職者 紀元前3世紀 バビロニアアッシリアの歴史をギリシャ語で書いたといわれる人