血(Blood)

mminazuki2005-11-02

科学者たちが、血液の科学的組織や特性を理解し始める以前 世界各地の民間伝承では 血が極めて重要な役割を果たしていることを数々の迷信は、物語っていた。魔法使いたちは、血液を彼らの魔法の最も強力な材料とみなし他人を意のままに操り 悪霊を服従させ 魔法円を描く事に使用した。何故なら 血液には、霊魂が宿るからだ。ある種の通過儀礼では 血液(魂)を体内にとり入れると言う意図で飲む。或いは 憑依された患者の治療に用いたり病気や悪運から身を守る薬の中にも血液を数滴たらした。17世紀の医師たちは 患者のから採取した血液「交感治療用粉薬」で遠隔治療が施せると この方法に魅了された。


一方 血液に霊魂が宿ると思われていたことから、怪我や鼻血の止血方法も様々行われた。聖書のエゼキエル書第16章6節は、一般的に止血の為の祈りである。また教会に出向いて聖水を かけてもらう方法もある。灰・蜘蛛の巣・ヘビの皮は 傷口にあてがうだけで止血できると信じられていた。またアイルランドの古い伝承に血の魔法使いと呼ばれ尊敬された鍛冶屋が挙げられている。子供の鼻血が止まらぬ時、鍛冶屋は 特別な知識を用い子供を鉄床(カナドコ)に寝かせハンマーで軽く3回打つ真似事をするとたちまち出血が治まると云われていた。


鼻血 および止血の民間療法
鼻の穴に猫の尻尾を突っ込む
ヒキガエルの死骸を首からつるす
藁を2本用意し患者の背中で十字を形作る。
本を高く積み その一番上に上唇を乗せる
親指に 赤い糸をグルグル巻く。
酢を染み込ませた布を燃やしその灰を吸い込む。

しかしながら 血液は、病気の治癒力があるとも思われていた。中世 イギリスの諸島では ハンセン病の治療に子供や処女の血で身体を洗う、或いは 絞首台の下で身を潜めていると滴り落ちてくる血液で完治すると信じられてきた。ハンガリーの伯爵夫人、エリザベートは処女の血で沐浴をすると美しさを保つ事が出来ると信じていた。一方アステカ族の文化では 血の犠牲として神々からの加護をえるため 途方も無い大量の血液を捧げた。東アフリカのマサイ族は 勇者になると信じライオンの血を飲む。また狐狩りに初めて参加したメンバーに「血塗り」の儀式を執り行うヨーロッパの地域が存在する。


悪魔との契約は 血で署名され魔女の魔力は 彼女の血に宿っているとされた。使い魔は魔女の血を吸うことで養われ魔女とみなされたものは その血が魔女の子等に伝えられないよう処刑は、火で完全に焼き尽くされるよう焚刑にされた。魔女に魔法をかけられた者の血液を採取し その血を特別な儀式に従い真夜中に沸騰させると 魔法をかけた魔女は猛烈な痛みを覚え 魔法を解かざるを得ない考えられていた。


「罪の無い血」が流された事に対する激しい怒りが血の飛び散った床板や染み込んだ土地にあらあれる。名所旧跡の中には、「消す事の出来ない血の痕」が今でも見られる。スコットランドホーリールドハウスでは、メアリー(スコットランド女王(1542−67)のイタリア人秘書ダービット・リッチョが刺殺された時の血痕が今でも残る。アメリメーン州には、コケに覆われた土地があり 年に一回 その土地は 血に染まったのように赤くなると言われているがこの土地は、インディオを大量虐殺した場所だった。


最後に血の媚薬として ドイツに今でも残る迷信では、男性の左手の小指から採取した一滴の血液を女性のグラスにこっそり入れる。それを飲み干した女性は その男性と恋に落ちる。女性も同じ様に結果が得られるが、小指の血ではないそうだ。