Hallowe’en

mminazuki2005-10-30

ケルト暦では、10月31日を一年の最後の日と決め 死者の祭りとした。ケルト人たちは、このハロウィンの日を 四季の繋ぎ目と云い重要な時間と空間の「ひび」よって亡霊の世界と生者の世界との接触が行われる日と信じていた。亡霊は地上を徘徊し 魔女たちは伝統的魔女集会を行う。地獄の門は ぱっくりと口をひらき太陽がそこにすっぽりと入ってしまうと悪霊たちは 地上に忍び出て この世に脅威をもたらすのであった。


キリスト教時代になると この祭りを聖人や殉教者を記念する万聖節、すなわち諸聖人の祝日(11月1日)の前夜祭に位置づけようとしたが この祭りの特性の持つ根本的、異教徒性を消し去る事は出来なかった。異教徒的性質は今も世界に流布している箒の柄にまたがる魔女のイメージや 悪霊を脅かして退散させるための かぼちゃの仮面や提灯などにより 強調されている。


ハロウィンは、超自然的な力や存在がこの世を支配する時であり 其れを巡っては 数多くの迷信が残されている。迷信には 悪霊を寄せ付けない為の防衛的儀式をはじめ 未来予知の方法まで様々であるが、最も広く信じられているのは この日死者の霊魂が 昔馴染んだ炉辺で暖をとるため それぞれの家に戻ってくると言う説である。


この種の死者の帰還を邪魔するのは、多くの地域において 危険な事とみなされ 通常この時期に教会墓地などをぶらついたり 或いは妖精 その他の悪霊などを知らずに怒らせたりしないよう特段の注意が払われる。例えば 道を歩いていて 直ぐ後ろで誰かがつけてきている足音を聞いたとしても 振り向かない事が肝心である。もしも振り向いてしまったときは、死者の顔を覗き込んだと同様にみなされ 自分自身の死期が早まる事にもなるとされていた。


また 辺りを徘徊している霊魂を 誤って傷つけてしまう恐れがあるので夜間の森に狩猟にでかける事もタブーとされている。ハロウィン中は、月光の中で自分のshadow(影)をまじまじと見てはいけない事も憶えておきたい。ただし ハロウィンには良い迷信も伝えられている。この日生まれた赤ん坊は、千里眼の才能に恵まれ生涯悪霊から身を守る術を身につけている。 ヨーロッパの片田舎では、農民が松明を掲げ畑の周辺を回り 最後に家畜をナナカマドの枝の間にまで追いたて通させる儀式によって あくる年の豊作は保証されると信じている。


今でもハロウィンの日の愉しみ方の一つに 将来に伴侶を見ることの出来る方法が若者たちに間に廃れずに残っている。ハロウィンに行う占いの儀式で未婚の娘が真夜中 髪をとかしながらりんごを食べ 鏡のまえに立つと 将来の伴侶の姿が彼女の左肩に映ると言われている。


ウェールズの言い伝えによると、ハロウィンの時に 町や村の十字路に出かけていき そっと耳を澄ます。すると 何所からか吹いてくる風の音に混じり あくる年何が起きるのかが、聞こえてきたり 教会の鐘の音が12時を打つとあくる年、亡くなる人の名が聞こえてくると云った言い伝えも残っている。