ヒトラー親衛隊 ”ハインリヒ ヒムラー”其の参

ヒトラー親衛隊 "ハインリヒ ヒムラー"其の参
ナチ体制は、ユダヤに対する「肉体的抹殺」を「最終解決」と考えていた。
理想とされる人種(アーリア人)純潔と他人種の劣等性を明らかにするため
骨相学から頭蓋骨測定に移行した。


1941年 この年ヒムラーの元に一通の手紙が届く。
差出人は ストラスブール大学解剖学研究所長のアウグスト・ヒルト。
この頃の医師たちの研究材料は ナチスに群がる事でこと欠かなかった。


拝啓ヒムラー殿(って書いたかは知らないケド)
こちらの研究室には 多くの人種の頭蓋骨のサンプルが集まりましたが
ユダヤ人のサンプルが極端に不足しています。
そちらには膨大なユダヤが捕虜となっているはずです。
彼らの頭を測定した後 頭蓋骨を傷つけず殺害し体から頭部を切断、
ブリキ缶に収め 解剖学研究所宛に送ってくださいませんか?
ただし頭蓋骨測定は 必ず生存中に行ってください。
また体全体の骸骨も研究したいと思います。
                         ヒル



医師は何時の時代でも 研究のためなら見境がなくなるのだろうか?
医者である前に人間であって欲しいものだ・・と私は強く思う。
人間であれば誰しもが眉をひそめるこの提案にむしろムヒラーは
夢中になり人類学的測定の頭蓋骨を手配する約束をした。
ガス室で殺害された生暖かい遺体は、ヒルトの元へと送られる。
このときの捕虜となっていたこの実験の犠牲者は109名にのぼる。


また時を同じくして ヒムラーは、ラシャー医師のと出会う。
ラシャー医師の妻が48歳から52歳までに2人の子供を生んだと聞き
祝いの手紙をだし その妊娠能力に興味を持つ。
実際は 孤児院からさらってきた子供たちだったが研究のため
ラシャーは 嘘をつき通す。


この頃 ラシャーの研究対象は 高度がその飛行士に与える影響であったが
実験中死亡する事が多いためラシャーはヒムラーをまんまと騙し
強制収容所の捕虜を被験者にした。実験結果は無論全員死亡だった。
ラシャーの研究は貪欲さを増し次に「蘇生法」に移る。
仮死状態(瀕死状態)の人間を作るには「冷凍実験」なる冷凍方法から始まる。
囚人は 夜間裸にされ収容所の庭先で一時間毎に冷水を浴びせられた。


蘇生法に至っては元科学専攻者ヒムラーの発想とは思えないものであった。
「動物熱」と称したこの実験方法は 瀕死の男性を二人の裸の女性が
あたため蘇生されたと同時に性交渉によって 
更に急激な体温の上昇を図る。これら女性は売春婦であった。
しかし医師としてのラシャーは、この蘇生法を更に早めるには熱湯風呂が
より効果的だとヒムラーに訴えるが自分の発案した人間(女性)の体温が
なりよりも優るとヒムラーは聞き入れない。
ついには この無意味な実験で犠牲者は続出する事となる。


また黒魔術的ナチスと敵対するルドルフ・シュタイナーの「有害動物処理法」を
真似てユダヤ人の灰をドイツ全土に撒き散らしたという事実もある。
「有害動物処理法」は 繁殖しすぎたウサギの脾臓生殖器 皮の一部を
取り除き これらを灰にし同毒療法薬を混ぜ 繁殖地域に撒いたところ
ウサギはパニック状態になり 何年もその地に姿を現さなくなった。
この方法を人間に対して行ったと言うのだ。
全ては ヒムラーの歪んだ精神と脳からの発想であった。


また「優生学」と呼ばれた研究に於いて ある植物から劣等的人種の
永久不妊を施す薬を作り出し一方では「生命の泉」と銘打った施設では
公にアーリア系の男たちに施設に収容された北方系の女性との
性交渉の場を与え人間交配農場を作り上げた。ヒムラーは、戦勝の暁には
帝国全土への拡大を考えていたのだった。
ヒムラーの薬草主義は 強制収容所に薬草畑を併設させた。
ヒマラヤ山脈から「アーリア蜂」を輸入させ北欧系の蜂蜜をさがさせ
「聖杯」を略奪計画を練り薔薇十字団のパワーの秘密までも調査させた。


また 今でで言うダウジング法だが
船舶の一枚の写真から その正確な位置を割り出す「放射感知」は、
オカルティストのシュトラニアクの手紙から始まった。
彼の振り子は例外なく 写真の中の船舶の位置をぴたりとあて
ベルリンの海軍研究所に採用される。
是によって五線星型魔術の実践者や霊媒師は
続々と集まり一日中振り子紐を持ち ドイツ海軍から「お手当て」をもらう。


さて この頃のヒトラーの考えは 在る儀式中に述べられた。


我々は人間の不平等をいっそうしようとは思わない。それどころか
逆に それを助長し 堅牢な柵に守られた原理に変えたいと思う。
これらの社会秩序とは どのようなものか?同志たちよ、教えよう。
まづ 大君主の段階がある
そのあとに 一般党員 無名の大衆の支持者 終身の召使および
労働者がつづき その下に現代の奴隷たる征服された外国人種がいる。
そして以上全ての段階を まだここでは口にできない
高貴な新しい存在が 高みから統治を行うのだ。
だが これら計画を
一般の軍人は これからも一切知ることはない。

ヒトラーは「闇の政権」の「副摂政」として地球全土を支配するつもりだった。
しかし その直後自らの夢にその悪魔の大君主が現れ罰を与えると
ヒトラーに告げたお蔭で計画中のV1 V2ロケットの開発が中止され
この弾道ミサイルもどきは この戦争の最終目的から外れた。

さて最終章では、ヒムラーの感情がはじめて 揺れ動く・・・・・。

つづく