魔法の杖

妖精の身元が何であったにせよ、其の主要なアトリビュート、こう言って良ければ、その道具は杖であり 杖は自然の諸力に対してドルイド僧たちが及ぼす魔法の力を象徴するものであった。ケルトの伝承によると ドルイド僧やアイルランドのフィラにとっては、人間を鳥、多くの場合白鳥 或いは猪に変えるには 杖の一振りでよい。それはちょうど キルケが杖で肩にふれたとたんオデュッセウスのお供の者たちが豚に変わった話を思い起こさせるし ペローの「童話集」でも同じように シンデレラの庭のかぼちゃは馬車になり意地悪な王妃はヒキガエルになるのである。

世界樹木神話

世界樹木神話

ヘルメスの杖は、二匹の蛇が両側から反対方向に巻き付いた簡素な「棒」である。このシンボルは、インドのナーガカルと呼ばれる古代石卓にもその図が見られギリシア人が現れるよりも遥かに古くから存在する。反対方向の二匹の蛇とは、戦いであり、善と悪、正と負を象徴し中心の杖によってもつれが解かれる事によって均衡が保たれている。ヘルメスの杖に両翼が飾られるのは、ヘルメスが神の使者となってからの事である。ヘルメスは火の真の発明者であり、火の起こし方を神々に伝え教えたことから好意を持たれ天と地下を結ぶ役割を担う事になった。