名前と迷信

命名において 最も広く知られているタブーは 既に亡くなっている兄弟姉妹の名前を新生児につける事である。これは無神経であるあるばかりか 極めて不吉な事とされてきた。なぜなら新生児にも同じ運命を背負わせる事に成り運命を挑発する事に繋がるからである。また飼っているペットの名前をつけるべきではない。これは、どちらにもやがて破滅が訪れるとされている。両親の名を子供につけるのも 子供の早死にを招く事になると信じられていた。しかし偉人や成功者の名前をとってつける事は、その人物の運を我が子が分かち持つことになり縁起の良い事とされてきた。


現代より宗教的であった時代、キリスト教徒が一般的に行った命名の方法に 聖書を無造作に開き 最初の「名前」が出てくるまで読み続け、成人や教殉教者の名前を名を選ぶと 子供にその聖者の加護が保障されると言われていた。しかし心に僅かな躊躇いでも示すと 子供は聖者によって天国に連れ去られてしまう。


あまり知られていないイングランドの言い伝えに不運とされる名前がある。この名は必ず狂気に陥る運命とされ、其の村では決して命名しないそうだ。また逆に幸運な名前もあり 其の名を持つものは 絞首刑になることはない。しかしこれらは、一部の地域の統計的なものである可能性が極めて高い。


頭文字が一つの単語になる名前も非常に幸運と考えられ 名前の文字数も重要であり 7文字になる名前は二重に縁起の良いもので 逆に13文字になるのは不吉とされていた。


ヨーロッパでは、洗礼式まで其の名を肉親以外明かさないようにと「迷信」を信じるものによって広められていた。悪霊が、其の名を呪文で唱え大切な子供に害を及ぼす可能性があるからだ。軽信深い過去の時代においては、親戚縁者が洗礼盤に集められる時まで 妻にさえ どのような名を選んだかを秘密にした父親さえいた。田園地帯、農村に住む多くの人々は、魔女や魔術師が身元を知り 子供や自分自身の名を呪文に使うことを恐れ、洗礼名を使用した。殆どの場合、洗礼名は一生使用するが 洗礼のあとで改名するものもいて 不吉な事とされてきた。


女性は、婚姻で苗字が変わる機会がある。最近では 実家の姓をそのまま継続して使用するケースも少なくないが一般的に婚姻後 姓を変える女性に対しては、実際に結婚式が終わるまで新しい姓を用いないよう充分注意させた。この迷信を信じるものは、どんな感じになるのかと仮に口に出したり 書いてみたりすることさえタブーとされた。それが元で結婚の計画が無に帰すことになりかねない。反対にひとたび婚姻が成立したら 旧制で呼ばれることはたとえ悪意がないにしても不吉な事であった。


花嫁は、実家の姓の頭文字と同じ頭文字で始まる男性のもとに嫁ぐと不幸になると言われていた。名前が変わっても頭文字が変わらないと 良い方向には変わらないからと言う理由からである。また血縁関係はないが、実家と同じ姓をもつ男性と結婚した女性は、病気を治癒させる特別な能力が備わると言われていた。また 同じ姓の男性に二度嫁いだ女性は 其の能力が極まり「百日咳」の治療に絶大な力を発揮した。


動物や命を持たないものに名前をつける場合も 同様の真剣さを必要とした。例えば「牛の初子」が生まれる際、其の出産が無事終わるまで 名前をつけるべきではないとされた。船員たちは、「船」の名前にも自分たちの運命を委ね恐れた。新しい船主が、「A」で終わる名につけ変えた船は、そのとたん沈没してしまった例がある。 


名前を知られる事を嫌うという昔話も多くあり 名前には、「呪力」があると信じられていた。日本の昔話で、鬼が川に橋を作る話。男は鬼にこの川に橋を架けてくれと頼む。鬼は、橋が完成したならば、男の命を頂くとの約束に喜んで橋をつくる。しかし男は鬼に食べられずにすんだ。男はその鬼の名前を知っていたので、鬼の名を三度唱えたら鬼は、何処かに消えてしまった。また悪魔の名は口にするものではないともいわれている。「豊臣秀吉」は自分の子供に「拾丸」、つまり「拾った子供」という名前をつけた。つまり呪術の世界では、名前を知られる事は その人物を支配できるとされてきたのだった。


エスキモー社会では、死者の名を口にすることがタブーとされた。このタブーは、亡くなった人の名が新生児につけられるまで続く。エスキモーの赤子は その人の名前が欲しくて産声を上げると考えられていた。


ブラジル国内ニュース「赤ちゃんの名前に新風潮」

トルコの観光「新生児命名

くさは餅本舗さん 新生児への儀式

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はてな「拾ったノートに名前を書いたら その人が・・・」

    • 前回teromere5さんより「名前」というのは呪術と深い関係があると思うのですがこれは類感と感染のどちらに含まれるのでしょうか?」というご質問に関して呪術の際「呼ぶ・書く・唱える」と言った行為に当てはまるものについてだけ書いてしまいました。「言霊」ってトコロを見逃してしまいました。ごめんなさいでした。(*^_^*)新生児命名の方向からも迷信や伝承など調べてみました。