ある分譲地の怪

1990年、ある女性が家を建てるための手ごろな土地を探していた。ある日のこと不動産屋に案内された土地は、二十件ほど新築の家が立ち並ぶ予定の日当たりの良い土地だった。
道幅も広く駅からもそう遠くない立地で申し分ない物件だった。しかしその女性は、その地に漂う異様な雰囲気を感じ取った。彼女は 不動産屋をまいて その分譲地の裏手に回ってみた。するとそこには、ショベルカーで破棄された墓石や地蔵がゴロゴロと転がっているではないか。周辺の住人に聴いて回ると半世紀ほど前 その場所は 経営が破綻した寺であった事が判明した。無論彼女は この話を断った。だが・・・その分譲地には 現在20世帯の住人が 墓の跡地と知らずに棲んでいる。